黒崎一勇 (3) は 、 戦っていた 。<br><br>小さな手の中にあるつやつやぴかぴかの瓶の中身は、織姫特製の苺ジャム。<br>毎朝食べているそれは、とても美味しい。<br>... もっとたくさん食べてみたい、のだ。<br><br>「 んむ ~! むむむむむむむ 」<br><br>お父さんやお母さんはいつも簡単に開けているのに、いくら頑張っても蓋が開かない。<br><br>「なんでぇ?!」<br><br>***<br><br>「... 開かないみたいだねえ」<br>「がっちり閉めておいたからな」<br><br>可愛い息子の奮闘をこっそり影から見守りながら、小声で会話する。<br><br>「 う ~! じゃむぅぅぅぅ 」<br><br>一勇が涙目でぺちぺちと蓋を叩く。 その後も諦めずチャレンジするが、蓋はびくともしないようだ。<br>その様子に織姫も涙目になる。<br><br>「かずくん、もうちょっとだよ!頑張って...!」<br>「応援したらダメだろ。 アイツ、つまみ食いしようとしてるんだぞ?」<br><br>呆れたように一護が溜め息を吐いた。<br><br>***<br><br>悪いことをしたら、お説教。<br>しかめっ面をした一護の前には、ちょこんと正座した一勇が俯いている。<br><br>「かずい、ジャムはパンに塗ったりヨーグルトと食べたりするんだぞ。 ジャムだけでたくさん食べたら、虫歯になったりお腹痛くなるから、もうやっちゃダメだ。 わかったか?」<br><br>一護が叱ると、納得いかないのかぷうっと頬を膨らませる。<br>こんな態度をとるのは珍しいし、風船のように膨らんだほっぺたが可愛らしくて笑いそうになるのを、ぐっと堪えた。<br><br>「一勇、こういう時は何て言うんだ?」<br><br>「.........」<br><br>物言いたげに、一勇が大きな目で一護をじっと見上げる。<br><br>「ん?なんだ?」<br><br>「おかあさんも、りんごのじゃむたべてたもん... みたもん...」<br><br>「!」 ...
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