甘ったるい芳香が和室に充満している。 しかし、人間は長時間同じ香りに晒されると慣れるものだ。 少年も少女も、香りに対する違和感を失っていた。 一組の布団の上に、二人の影が並ぶ。 バクバクと煩い心臓の音はどちらのものだろうか。「皺になるといけないから、学ランは脱いじゃおっか。 ズボンも。 ...... 脱がせていい?」 頬を上気させた少女が小首を傾けて問う。 普段は毛先で結われている黒紫の髪が一緒に揺れた。「...... 自分で脱げる」「それでもいいんだけど、今日は私にやらせて」「おい」
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