昼下がり甘味の会 秋から冬へ移り変わるほんのひと時の小春日和。外吹く風は冷たいけれど、陽の光の暖かな午後。 黄色く色付いた銀杏の木が見える空 dịch - 昼下がり甘味の会 秋から冬へ移り変わるほんのひと時の小春日和。外吹く風は冷たいけれど、陽の光の暖かな午後。 黄色く色付いた銀杏の木が見える空 Việt làm thế nào để nói

昼下がり甘味の会 秋から冬へ移り変わるほんのひと時の小春日和。外吹く風

昼下がり甘味の会








秋から冬へ移り変わるほんのひと時の小春日和。外吹く風は冷たいけれど、陽の光の暖かな午後。
黄色く色付いた銀杏の木が見える空き部屋に今剣と小夜左文字、五虎退の三人が集まっていた。
部屋の隅には火鉢ではなく石油ストーブ。乗せられた薬缶がしゅんしゅんと暖かい蒸気を出している。
立冬を迎えてからは一層風が冷たくなり、暖房器具なしでは震える寒さになった。それでも銀杏の木が見えるようにほんの少し障子を開けて季節を楽しむ。甘味の会の時の三人のこだわりだ。
座布団とお茶の用意が済むと、今回のお菓子当番の今剣が後ろ手に何かを隠して不敵に笑った。
「ふふふ…ふたりとも、こんかいのおやつはとらやのようかんですよ!」
「とらや…!」
「とらやだぁ…!」
背中に隠していた羊羹を勢いよく二人の前に出す今剣。この本丸では高級品のとらやの羊羹、しかも丸々一本の登場に恐れ慄く小夜と五虎退。驚きで言葉の出ない二人に今剣は得意気に笑い、羊羹の面を指す。
「しかもくりむしようかんです!」
「すごい…!」
「栗蒸し…!」
時期限定の栗蒸し羊羹。とらやの羊羹の中でも更に値の上がる商品だと知っている小夜と五虎退は思わず互いの手を握り合った。
「どうしたの、これ…」
当然沸き起こる質問に今剣は滔々と語りだす。
「ぼくがはじめてとらやのようかんをたべたのははんとしまえでした…」
「半年前って何かありましたっけ…?」
「…運動会、かな」
「そうです!そのうんどうかいでゆうしょうしたのはぼくのいるさんじょうちぃむでした」
「…ああ、あの時の」
初夏の心地良い季節にこの本丸ではチームに分かれて運動会を行なった。今剣は三条チーム、小夜は左文字と虎徹の合体チーム、粟田口は三チームに分かれ内一つのチームだ。
「僕のちぃむ五位でした…」
「ごこたいのちぃむはじんせんがわるかったですね」
「仕方ないよ…それで、優勝ちぃむの商品の一つだっけ」
当時を思い出したのかしょんぼりする五虎退を慰めると小夜は続きを促す。
「そうです。ぼくはあのときたべたようかんがわすれられませんでした」
「そんなに美味しかったんですね」
「ほっぺがおちました。あのときのかんどうがわすれられなかったぼくはもういちどたべるためにほまれすたんぷをあつめました」
誉スタンプとは名の通りスーパー等のスタンプカードと同じシステムだ。誉の数だけ褒美のレベルが上がるのだ。
「そしてほんじつ!すたんぷを五十あつめたぼくはついにとらやのようかんとこうかんできたのです!」
「おおー!」
今剣の努力と忍耐に二人から拍手が起こる。
誉スタンプを五十も集めるのは時間がかかっただろう。小夜と五虎退は尊敬の目で今剣を見つめた。
「でも…僕達に分けていいの?」
「そうですよ!せっかく集めたのに…」
ほっぺが落ちるくらいに美味しかった羊羹。一人占めしたっていいだろうに、今剣はにこりと笑うと羊羹の包装を剥がし始めた。
「いいのですよ。さよとごこたいといっしょにたべたほうがもっともっとおいしいですから」
「…そうだね」
「ありがとうございます」
今剣は羊羹を覆うビニールを捲ると黒文字でちょんちょんと切っていく。
「さあふたりとも、かいしをだしてください」
「あ、はい…!」
懐から出した懐紙の上に羊羹がふた切れずつ。切り口には大きな栗の黄色が見えてなんとも贅沢だ。今剣が羊羹の準備をしている間に小夜は茶葉を急須に入れてお茶の準備をしている。
「では、いただきましょう」
「いただきます」
お茶の準備も終えて三人手を合わせる。黒文字で少し切って口に運べば秋の味覚、幸せの甘味。ああ、おいしい。
「ふわぁぁ…おいしいです…」
思わずこぼれた五虎退の言葉に今剣と小夜も感嘆を漏らした。
「ほっぺが落ちるね…」
「おちます…!」
三人揃って両手で頰をおさえる。
月に一度の甘味の会は普段食べられない贅沢なお菓子を持ち寄る。だから毎度一口目は三人で蕩け、幸せを味わう。もちろんお菓子だけではなく、この三人だからこそできるお喋りも楽しみなのだが。
「そういえばこのほんまるもずいぶんかたながふえましたが、ふたりはどこでまぐわっているのですか」
しばらく羊羹とお茶を夢中で味わっていると、突然切り込んでくるのが今剣だ。突然の閨事情にお茶を飲んでいた小夜と五虎退が噎せた。
「…突然だね」
「…ふぇぇ」
「あきべやってもうないですよね」
「まあ…無いかもね」
口元を懐紙で拭いながら今剣を見ればしてやったり顔だ。噎せるタイミングを狙ったのだろう。ちなみに今いる部屋は遠征でいない沖田組の部屋だ。許可済み。
「今剣はどうしてるのさ」
「ぼくですか?ぼくはさんじょうのへやですね。みなおいはらいます」
「それって」
「い、今からするのバレバレじゃないですかぁ…!」
想像以上に大胆な今剣に小夜と五虎退は頰を染める。
「みなそれぞれのこいなかのもとへいくたいみんぐがありますから」
「ああ、そういう…」
三条はそれぞれ恋仲がいるのでそういうタイミングも分かるのかもしれない。それはそれで恥ずかしいなと小夜は感じるが、性に関して比較的大らかな平安刀だからこそできるのかもしれない。左文字も大らかかもしれないけれど、流石に今からまぐわってきますとは素直に言えない。顔を真っ赤にしている五虎退の様子から粟田口は以ての外だと分かる。
「さよはどこでしてるのですか?」
「……外か、遠征で兄様達がいない時はぼくの部屋か」
「そ、外って」
「林とか、裏庭の木の裏とか」
「じめんにねころがって?」
「草むらに寝転がったり、木に掴まってとか…」
「ほおー…さよたちえっちですね!」
「えっちって…薬研のせいだから」
「ふふ。やげんのせいですか」
今剣の言葉に含みを感じるけれど、今更なので気にしない。五虎退は小夜の相手が薬研だと知っているのに毎回動揺し恥ずかしそうに聞いている。
「やっ薬研兄さん…お外が好きなんだ」
外が好きだと誤解されているがこれもまた今更だろう。
「五虎退は?どうなの」
「えっ、と…遠征先とか、他の皆さんが居ない時の大倶利伽羅さんのお部屋、です」
「へぇ」
審神者がどこまで把握してるのか知らないが、時々恋仲同士だけで遠征に行かせてくれるのはそういう事かと合点がいく。
「時々、森で…」
「森?あの裏庭の奥の?」
「あ、はい」
「ごこたいもきにつかまるのですか?」
「え、えっと」
羞恥に顔が真っ赤になっている五虎退は、今剣のからかいに気付いてはいない。にやにやと笑う今剣の隣で、小夜は呆れる。けれど興味があるのも事実なので止めることはしない。
「座ってる大倶利伽羅さんの上に、跨る感じ…です」
「たいめんざいですね」
「対面座位だね」
「いっ…言わないで下さいぃ〜」
素直で正直な五虎退は反応が初で可愛いので今剣と小夜はついからかってしまう。反応は初なのに五虎退の全ては大倶利伽羅色に染められているのだ。
こんな感じで普段大っぴらに出来ない会話をお茶菓子と共に楽しんでいると、今剣が時計を見て「そろそろですね」と呟いた。
「どうしたんですか?」
「じつはこんかい、げすとをよんだのです」
「げすと?」
「そろそろくるころあいです」
と、開けてある障子の隙間から前田が顔を出した。
「今剣さん。前田です」
「前田?」
「はい!えんりょせずどうぞ」
「失礼します…」
今剣と小夜、五虎退という面子に前田は不思議そうにしながらも五虎退の差し出した座布団に正座した。前田の前に羊羹とお茶を出すと表情を緩める。前田も甘味が好きなのだ。
「いただきます」
黒文字で一口分切り口に入れると蕩ける笑顔。「ん〜〜」と頰を押さえて声にならない
感嘆を漏らした。
「これ、とらやの羊羹なんだよ」
「とらやの…!どうりで美味しいはずです」
「誉スタンプ五十個分なんだよ」
「五十っ…!頂いてもいいのですか?」
前田と五虎退の兄弟ならではのテンポで進む会話に今剣はにこにこと微笑む。
「よいのです。みなでたべたほうがおいしいでしょう」
「ありがとうございます!」
小夜は三人の会話に聞き覚えがあるなと耳に流しつつ皆のお茶を淹れ直す。
「今剣」
「はい」
「前田も…その、同じなの?」
小夜達に恋仲がいるのは一部しか知らないので、口に出すのが躊躇われる。濁した言い方をするも今剣は察したらしい。
「そうですよ。まえだにもいいひとができたんです」
「えっ!!」と五虎退。
「あっ!」と前田。突然の暴露に慌てふためく。
「今剣さん!な、内緒でお願いしますって言ったのに…!」
小夜は前田と今剣のやり取りに勘付く。相手はおそらく大典太だろう。一方であわあわしている五虎退に湯のみを差し出してやれば眉をへにゃりと下げて微笑んだ。
空とぼける今剣は、「ここにいるみなこいしいあいてがいるのでそうだんするにはもってこいですよ」と更に暴露し前田の驚いた声が響く。
「知らなかった…。五虎退も、ですか」
「うん。大倶利伽羅さんです」
「そうだったんですね…」
五虎退に恋仲がいるのを知ってるのは兄弟では一期と薬研くらいだろう。
「さよくんはやげんです」
「薬研兄さんなんですか…!」
「うん。今剣は岩融だよ」
「えへへ」
余程意外な組み合わせだったらしい。前田は初めて知る事実に驚くばかりだ。
「あの…この本丸内で恋仲同士の方がいらっしゃるのは知っていましたが、まさかこんなに身近にいるとは思いませんでした」
お茶を飲み落ち着いたのか、ほうと息を吐く前田の言葉に三人はきょとんとした。
「前田が考えてるよりもっと多いよ、この本丸」
「えっ」
「さんじょうとさもんじはみなあいてがいますし」
「ええっ」
「一兄にもいるよ」
「えええっ!」
「本当に知らなかったんだね…」
次々に知らされる事実に前田は衝撃を受けているようだが、恋仲だらけの本丸で気付かないことに三人は驚く。
「今剣さんはどうして分かったんですか…?」
「ふふん。いろこいにはびんかんなんですよ!」
「前田の場合は想像がついたけどね」
五虎退の問いに自慢気に答える今剣だが、前田の場合は正直とても分かり易かった。

数ヶ月前の夏の終わり。いべんととやらで大典太が鍛刀されてから前田に変化が現れた。勿論それまでの日々も出陣に内番等、人としての生を楽しそうに過ごしていた。けれど大典太が来てからは更に幸せそうに笑うようになった。
前田の変化は周囲が見ても分かりやすく、気付かない筈がない。
あとは時間と当人らのタイミング次第だろうな、と薬研と話していたのを小夜は思い出した。
照れくさそうに、けれど幸せに満ちた微笑みを浮かべる前田に小夜の口元も緩む。
「それで、どちらがこくはくしたのですか」
「ぼっ 僕も聞きたい、です」
「ええっ」
「なれそめでもいいですよ」
「うんうん」
「…言わなきゃ駄目ですか」
二人の追求に助けを求める視線を感じた小夜はやれやれと口角を上げた。
「僕も聞きたい」
一見恋バナには興味の無さそうな小夜は、甘味の会で少しずつ毒された結果、皆で恋バナする楽しみを知ってしまった。小夜は羊羹を一口分切って差し出すと、前田はパクリと口に入れた。咀嚼し飲み込むのを見届けてから、
「これ食べたら、もう甘味の仲間だから」
と言った。
前田は困った顔で羊羹をもう一口食べるとお茶を飲み、ふうと一息ついた。
「…後で皆さんの馴れ初めも聞かせて下さいね!」
そう言うとはにかんだ笑顔を見せた。





◇◇◇





「忘れてましたが僕もお菓子をお持ちしたんです」
前田と大典太の馴れ初めにきゃあきゃあしていると、前田が後ろに置いていた菓子箱を差し出した。
包みを剥がして菓子箱を開けると、薄黄色のきな粉を纏ったまあるい生菓子。
「亥の子餅です。本日皆さんの会に呼ばれる話をしたら大典太さんが用意して下さって」
「おおでんたが?」
「一緒に万屋へ行った時に選んで下さいました」
「前田、嬉しそうだね」
そう言えば前田は恋する少
0/5000
Từ: -
Sang: -
Kết quả (Việt) 1: [Sao chép]
Sao chép!
昼下がり甘味の会 秋から冬へ移り変わるほんのひと時の小春日和。 外吹く風は冷たいけれど、陽の光の暖かな午後。 黄色く色付いた銀杏の木が見える空き部屋に今剣と小夜左文字、五虎退の三人が集まっていた。 部屋の隅には火鉢ではなく石油ストーブ。 乗せられた薬缶がしゅんしゅんと暖かい蒸気を出している。 立冬を迎えてからは一層風が冷たくなり、暖房器具なしでは震える寒さになった。 それでも銀杏の木が見えるようにほんの少し障子を開けて季節を楽しむ。 甘味の会の時の三人のこだわりだ。 座布団とお茶の用意が済むと、今回のお菓子当番の今剣が後ろ手に何かを隠して不敵に笑った。「ふふふ... ふたりとも、こんかいのおやつはとらやのようかんですよ. 」「とらや...! 」「とらやだぁ...! 」 背中に隠していた羊羹を勢いよく二人の前に出す今剣。 この本丸では高級品のとらやの羊羹、しかも丸々一本の登場に恐れ慄く小夜と五虎退。 驚きで言葉の出ない二人に今剣は得意気に笑い、羊羹の面を指す。「しかもくりむしようかんです. 」「すごい...! 」「栗蒸し...! 」 時期限定の栗蒸し羊羹。 とらやの羊羹の中でも更に値の上がる商品だと知っている小夜と五虎退は思わず互いの手を握り合った。「どうしたの、これ... 」 当然沸き起こる質問に今剣は滔々と語りだす。「ぼくがはじめてとらやのようかんをたべたのははんとしまえでした... 」「半年前って何かありましたっけ...? 」「… 運動会、かな」「そうです! そのうんどうかいでゆうしょうしたのはぼくのいるさんじょうちぃむでした」「… ああ、あの時の」 初夏の心地良い季節にこの本丸ではチームに分かれて運動会を行なった。 今剣は三条チーム、小夜は左文字と虎徹の合体チーム、粟田口は三チームに分かれ内一つのチームだ。「僕のちぃむ五位でした... 」「ごこたいのちぃむはじんせんがわるかったですね」「仕方ないよ... それで、優勝ちぃむの商品の一つだっけ」 当時を思い出したのかしょんぼりする五虎退を慰めると小夜は続きを促す。「そうです。 ぼくはあのときたべたようかんがわすれられませんでした」「そんなに美味しかったんですね」「ほっぺがおちました。 あのときのかんどうがわすれられなかったぼくはもういちどたべるためにほまれすたんぷをあつめました」 誉スタンプとは名の通りスーパー等のスタンプカードと同じシステムだ。 誉の数だけ褒美のレベルが上がるのだ。「そしてほんじつ! すたんぷを五十あつめたぼくはついにとらやのようかんとこうかんできたのです. 」「おおー. 」 今剣の努力と忍耐に二人から拍手が起こる。 誉スタンプを五十も集めるのは時間がかかっただろう。 小夜と五虎退は尊敬の目で今剣を見つめた。「でも... 僕達に分けていいの? 」「そうですよ! せっかく集めたのに... 」 ほっぺが落ちるくらいに美味しかった羊羹。 一人占めしたっていいだろうに、今剣はにこりと笑うと羊羹の包装を剥がし始めた。「いいのですよ。 さよとごこたいといっしょにたべたほうがもっともっとおいしいですから」「… そうだね」「ありがとうございます」 今剣は羊羹を覆うビニールを捲ると黒文字でちょんちょんと切っていく。「さあふたりとも、かいしをだしてください」「あ、はい...! 」 懐から出した懐紙の上に羊羹がふた切れずつ。 切り口には大きな栗の黄色が見えてなんとも贅沢だ。 今剣が羊羹の準備をしている間に小夜は茶葉を急須に入れてお茶の準備をしている。「では、いただきましょう」「いただきます」 お茶の準備も終えて三人手を合わせる。 黒文字で少し切って口に運べば秋の味覚、幸せの甘味。 ああ、おいしい。「ふわぁぁ... おいしいです... 」 思わずこぼれた五虎退の言葉に今剣と小夜も感嘆を漏らした。「ほっぺが落ちるね... 」「おちます...! 」 三人揃って両手で頰をおさえる。 月に一度の甘味の会は普段食べられない贅沢なお菓子を持ち寄る。 だから毎度一口目は三人で蕩け、幸せを味わう。 もちろんお菓子だけではなく、この三人だからこそできるお喋りも楽しみなのだが。「そういえばこのほんまるもずいぶんかたながふえましたが、ふたりはどこでまぐわっているのですか」 しばらく羊羹とお茶を夢中で味わっていると、突然切り込んでくるのが今剣だ。 突然の閨事情にお茶を飲んでいた小夜と五虎退が噎せた。「… 突然だね」「… ふぇぇ」「あきべやってもうないですよね」「まあ... 無いかもね」 口元を懐紙で拭いながら今剣を見ればしてやったり顔だ。 噎せるタイミングを狙ったのだろう。 ちなみに今いる部屋は遠征でいない沖田組の部屋だ。 許可済み。「今剣はどうしてるのさ」「ぼくですか? ぼくはさんじょうのへやですね。 みなおいはらいます」「それって」「い、今からするのバレバレじゃないですかぁ...! 」 想像以上に大胆な今剣に小夜と五虎退は頰を染める。「みなそれぞれのこいなかのもとへいくたいみんぐがありますから」「ああ、そういう... 」 三条はそれぞれ恋仲がいるのでそういうタイミングも分かるのかもしれない。 それはそれで恥ずかしいなと小夜は感じるが、性に関して比較的大らかな平安刀だからこそできるのかもしれない。 左文字も大らかかもしれないけれど、流石に今からまぐわってきますとは素直に言えない。 顔を真っ赤にしている五虎退の様子から粟田口は以ての外だと分かる。「さよはどこでしてるのですか? 」「…… 外か、遠征で兄様達がいない時はぼくの部屋か」「そ、外って」「林とか、裏庭の木の裏とか」「じめんにねころがって? 」「草むらに寝転がったり、木に掴まってとか... 」「ほおー... さよたちえっちですね. 」「えっちって... 薬研のせいだから」「ふふ。 やげんのせいですか」 今剣の言葉に含みを感じるけれど、今更なので気にしない。 五虎退は小夜の相手が薬研だと知っているのに毎回動揺し恥ずかしそうに聞いている。「やっ薬研兄さん... お外が好きなんだ」 外が好きだと誤解されているがこれもまた今更だろう。「五虎退は? どうなの」「えっ、と... 遠征先とか、他の皆さんが居ない時の大倶利伽羅さんのお部屋、です」「へぇ」 審神者がどこまで把握してるのか知らないが、時々恋仲同士だけで遠征に行かせてくれるのはそういう事かと合点がいく。「時々、森で... 」「森? あの裏庭の奥の? 」「あ、はい」「ごこたいもきにつかまるのですか? 」「え、えっと」 羞恥に顔が真っ赤になっている五虎退は、今剣のからかいに気付いてはいない。 にやにやと笑う今剣の隣で、小夜は呆れる。 けれど興味があるのも事実なので止めることはしない。「座ってる大倶利伽羅さんの上に、跨る感じ... です」「たいめんざいですね」「対面座位だね」「いっ... 言わないで下さいぃ〜」 素直で正直な五虎退は反応が初で可愛いので今剣と小夜はついからかってしまう。 反応は初なのに五虎退の全ては大倶利伽羅色に染められているのだ。 こんな感じで普段大っぴらに出来ない会話をお茶菓子と共に楽しんでいると、今剣が時計を見て「そろそろですね」と呟いた。「どうしたんですか? 」「じつはこんかい、げすとをよんだのです」「げすと? 」「そろそろくるころあいです」 と、開けてある障子の隙間から前田が顔を出した。「今剣さん。 前田です」「前田? 」「はい! えんりょせずどうぞ」「失礼します... 」 今剣と小夜、五虎退という面子に前田は不思議そうにしながらも五虎退の差し出した座布団に正座した。 前田の前に羊羹とお茶を出すと表情を緩める。 前田も甘味が好きなのだ。「いただきます」 黒文字で一口分切り口に入れると蕩ける笑顔。 「ん〜〜」と頰を押さえて声にならない感嘆を漏らした。「これ、とらやの羊羹なんだよ」「とらやの...! どうりで美味しいはずです」「誉スタンプ五十個分なんだよ」「五十っ...! 頂いてもいいのですか? 」 前田と五虎退の兄弟ならではのテンポで進む会話に今剣はにこにこと微笑む。「よいのです。 みなでたべたほうがおいしいでしょう」「ありがとうございます. 」 小夜は三人の会話に聞き覚えがあるなと耳に流しつつ皆のお茶を淹れ直す。「今剣」「はい」「前田も... その、同じなの? 」 小夜達に恋仲がいるのは一部しか知らないので、口に出すのが躊躇われる。 濁した言い方をするも今剣は察したらしい。「そうですよ。 まえだにもいいひとができたんです」「えっ! 」と五虎退。「あっ! 」と前田。 突然の暴露に慌てふためく。「今剣さん!な、内緒でお願いしますって言ったのに...!」 小夜は前田と今剣のやり取りに勘付く。 相手はおそらく大典太だろう。 一方であわあわしている五虎退に湯のみを差し出してやれば眉をへにゃりと下げて微笑んだ。 空とぼける今剣は、「ここにいるみなこいしいあいてがいるのでそうだんするにはもってこいですよ」と更に暴露し前田の驚いた声が響く。「知らなかった... 。 五虎退も、ですか」「うん。 大倶利伽羅さんです」「そうだったんですね... 」 五虎退に恋仲がいるのを知ってるのは兄弟では一期と薬研くらいだろう。「さよくんはやげんです」「薬研兄さんなんですか...! 」「うん。 今剣は岩融だよ」「えへへ」 余程意外な組み合わせだったらしい。 前田は初めて知る事実に驚くばかりだ。「あの... この本丸内で恋仲同士の方がいらっしゃるのは知っていましたが、まさかこんなに身近にいるとは思いませんでした」 お茶を飲み落ち着いたのか、ほうと息を吐く前田の言葉に三人はきょとんとした。「前田が考えてるよりもっと多いよ、この本丸」「えっ」「さんじょうとさもんじはみなあいてがいますし」「ええっ」「一兄にもいるよ」「えええっ. 」「本当に知らなかったんだね... 」 次々に知らされる事実に前田は衝撃を受けているようだが、恋仲だらけの本丸で気付かないことに三人は驚く。「今剣さんはどうして分かったんですか...? 」「ふふん。 いろこいにはびんかんなんですよ. 」「前田の場合は想像がついたけどね」 五虎退の問いに自慢気に答える今剣だが、前田の場合は正直とても分かり易かった。 数ヶ月前の夏の終わり。 いべんととやらで大典太が鍛刀されてから前田に変化が現れた。 勿論それまでの日々も出陣に内番等、人としての生を楽しそうに過ごしていた。 けれど大典太が来てからは更に幸せそうに笑うようになった。 前田の変化は周囲が見ても分かりやすく、気付かない筈がない。 あとは時間と当人らのタイミング次第だろうな、と薬研と話していたのを小夜は思い出した。 照れくさそうに、けれど幸せに満ちた微笑みを浮かべる前田に小夜の口元も緩む。「それで、どちらがこくはくしたのですか」「ぼっ 僕も聞きたい、です」「ええっ」「なれそめでもいいですよ」「うんうん」「… 言わなきゃ駄目ですか」 二人の追求に助けを求める視線を感じた小夜はやれやれと口角を上げた。「僕も聞きたい」 一見恋バナには興味の無さそうな小夜は、甘味の会で少しずつ毒された結果、皆で恋バナする楽しみを知ってしまった。 小夜は羊羹を一口分切って差し出すと、前田はパクリと口に入れた。 咀嚼し飲み込むのを見届けてから、「これ食べたら、もう甘味の仲間だから」と言った。 前田は困った顔で羊羹をもう一口食べるとお茶を飲み、ふうと一息ついた。「… 後で皆さんの馴れ初めも聞かせて下さいね. 」 そう言うとはにかんだ笑顔を見せた。◇◇◇「忘れてましたが僕もお菓子をお持ちしたんです」 前田と大典太の馴れ初めにきゃあきゃあしていると、前田が後ろに置いていた菓子箱を差し出した。 包みを剥がして菓子箱を開けると、薄黄色のきな粉を纏ったまあるい生菓子。「亥の子餅です。 本日皆さんの会に呼ばれる話をしたら大典太さんが用意して下さって」「おおでんたが? 」「一緒に万屋へ行った時に選んで下さいました」「前田、嬉しそうだね」 そう言えば前田は恋する少
đang được dịch, vui lòng đợi..
Kết quả (Việt) 3:[Sao chép]
Sao chép!
Ngày tiếp theo, và sẽ bị り món ăn ngonMùa thu か Nhật. Chuyển り tháng わ ほ thời con gái của bà lúc nhỏ và ngừng và Xuân và gió lạnh thổi く. Ngoài số た cây, từ khi nơi ở Trung け thăng, Dương và か な và ánh sáng và chiều.Màu vàng く trả trung た bạch quả và gỗ bị gặp え tháng 5 trống に nay nửa bên trái chữ, rút lui, và ba người bị dẫn っ hóa tập trung た. に và đường số 1, số dầu lửa な く khi nhà ト - 6 ngày. た bị cây, từ khi nơi ở cho những bất có thời con gái của thời con gái của trời ấm cho những bất có か trung hấp. Hóa ra cho những bất trong tháng.Lập Đông. え hóa ngày か đón đánh giá một tầng bị た gió lạnh く な り, chúc mừng hôn lễ vật cho những bất な 1 tháng え lạnh mà chấn に nay な っ た. Văn với 1 tay Bạch quả và gỗ cây, từ khi nơi ở bị gặp え. Tháng に ほ thời con gái của Sudan và ít lông. け mùa mở cho những bất bình phong hóa. Cho những bất,. Món ăn ngon và sẽ kịp khi ba người và thù わ り phút và phút.Cây vải buổi làm, và お trà đã bị ngừng lại, nay お và con trai, và nay đã bị sau tay かを に nợ cho những bất hóa không địch に cười っ た."ふ ふ ふ... ふ た ngừng tay り, thù thời con gái của か Trung và お đạo つ nói nửa ngày và 1 か thời con gái của Sudan, tuyệt. Để đó!""Trời" đạo "...!"Nửa Nhật đạo chia ぁ"...!Trong に lưng cho những bất hóa Trung た chè dương canh. Thế Trung Phương く và hai người trước nay に ra để. Thù số sản phẩm cao cấp 1 và cuốn thuốc và nửa ngày và chè dương canh, sống cho những bất か. Thuốc 々 một cuốn và gặt hái に sợ cây, từ Khi nơi ở く castanea nửa rút 1 lá và tiên tri ngạc 5. Ra な trung hai người に nay に cười nói vui Trung, chè dương canh và mặt. Để ý."" cho những bất か tay く り, Sudan, và để cho những bất phương か thời con gái của 1!"Và để trên trung"...!Cho những bất hấp "Castanea".Thời gian giới hạn cho những bất chè dương canh và lứt hấp. Trời nhất trong ngày và chè dương canh và 1 tay và bị に hơn trên hàng tháng trời biết chia っ hóa nửa tháng trong rút lui mà tư わ chia tay cầm. Trong trung và り hợp っ た."" thăng Sudan và cây, từ khi nơi ở cho những bất た, thù...Tất nhiên sôi nổi trong tháng 5 thù hỏi に nói gì đó 々 nửa tiếng để り phút."." ぼ bị các nghị く số hóa nửa ngày và Sudan. か sống dưới thời con gái của た べ た số và số 1 của thời con gái của trời cho những bất え cho những bất た..."Nửa năm trước っ hóa か gì あ り dẫn cho những bất た っ け"...?Đại hội Thể dục thể thao, か な ""...Và か Sudan, Sudan, thời con gái của công chúa thăng Trung rồi cho những bất ょ Sudan, Sudan, 1 cho những bất た và đánh giá ぼ く tháng nay. Và trong thời con gái của ょ thứ 1, Sudan, không cho những bất công Sudan để た "" 1.あ あ, và khi あ. ""...Tháng 4, và tấm lòng lương trung に thù mùa 1 và dân số thuốc và Ben - ム に điểm か cây, từ khi nơi ở Đại hội Thể thao hàng hóa. な っ た. Nay, số 3, số dân ム - bên trái chữ nửa hổ trệt và dân ム 26.320 - kê, ba dân số ruộng khẩu phần ム - に か cây, từ khi nơi ở bên trong. - và một つ dân ム chia."." tất cả các bit 1, 5 và không cho những bất た..."Vẫn còn た thù trong số không, và thứ 6 thời con gái của thời con gái của nghị わ bị か っ 1 tháng để た."1 thứ công cây, từ khi nơi ở, nổi bật và hàng không, và một つ chia っ け "." Marcus phương な Trung Phương...Lúc đó hắn tư Trung ra và cho những bất た か cho những bất ょ thời con gái của ぼ り tháng để rút lui. khuây các buổi. Đội số tháng 5 để mang đến những điều tốt đẹp."Công Sudan để く あ, số 1. ぼ và 5 た buổi べ た phía Sudan bị か thời con gái của cây, từ khi nơi ở của Nhật để わ 6 thời con gái của 1 cây, từ khi nơi ở cho những bất た"."Công thời con gái của な に ngon cho những bất か っ 1 để た thời con gái của bạn.""ほ っ bị dẫn お Brazil thứ 5 và cho những bất た. あ buổi か thời con gái của Sudan và thăng bị わ cây, từ khi nơi ở Nhật để cây, từ khi nơi ở な か っ た ぼ く tay tất cả số trung tâm của Sudan, thăng た tháng べ た に ほ để dẫn các cây, từ khi nơi ở た thời con gái của あ つ đặc biệt. Các hướng dẫn cho những bất た".Một nửa số プ khi đang lên danh り và chiều khi - - khi đó đang do chờ và một thành phố ước chừng nửa プ - シ cùng nghị khi テ ム phút phút và đếm. Dự け bao đẹp và tôi biết ベ tên trên tháng và bị chia."Văn hóa. Để cho những bất ほ thời con gái của つ た thời con gái của 50 あ つ đặc biệt. Các た ぼ く nói trong buổi つ に nhất phía Nhật và か thời con gái của Sudan, Sudan, 1 nửa thù か thời con gái của 1 và 5 た để"!"." お お -!Trong buổi và cố gắng nhịn nhục に hai người Nhật bị bắt tháng thù か vỗ tay.Danh dự khi đang điều プ. 50 tay tập các số thời gian tháng và bị か か っ た chia nợ Sudan. nửa rút lui mà tôn trọng bộ và 1. Nay gặp các つ た."1 tay... Tớ da に điểm け hóa Trung Trung kịp?""Công Sudan để 1 phương! 6 っ か く tập và các た に...".ほ っ Brazil bị rơi vào tháng く Nhật Trung に ngon cho những bất か っ た chè dương canh. Một người cho những bất lợi trong các た っ hóa Trung chia nợ に Sudan, trong số に thù り nửa cười nửa gói chè dương canh và Sudan đã bị lột da đầu. Cho những bất た tầng."Trong đó và để trong 1 buổi た thù nào. Hôm nay vẫn trung っ vào trưa cho những bất ょ に た べ た ほ Sudan bị ngừng tay っ っ ngừng tay cho những bất お trong 1 ngày để か".Phút Công Sudan. ""..."あ り Sudan bị trời vẫn có cái để".Hiện nay, số chè dương canh. ビ sụp đổ, và các nước Sudan - Vol 1 tháng trời. Tất cả mọi thứ, da màu chữ ょ thời con gái của ょ thời con gái của Trời cắt っ hóa Trung く."Hôm nay あ ふ た ngừng tay cho những bất り, か Trung chia cho những bất く phút. Hóa hôm nay.""あ, quân kháng chiến Trung"...! か Nhật ra cho những bất た trên giấy và に chè dương canh đã bị cắt trong ふ た cây, từ khi nơi ở つ. Cắt り に miệng lớn và số 5 な nâu vàng bị gặp え hóa な buổi chia tay thời con gái của U. Nay đã bị chè dương canh và Sẵn sàng cho những bất に hóa. Trong giữa tháng, số lá trà に vào cấp râu. Cây, từ khi nơi ở お Trà hóa và chuẩn bị cho những bất hóa. Trong tháng 2."Số 1, Trung た chia 5 hướng dẫn cho những bất ょ Sudan"."Trung た để chia 5 độ."お trà và chuẩn bị thủ え hóa cuối cùng ba người hợp わ. 6 tháng 1 ít văn bản. Da màu cho những bất っ hóa cắt miệng に vận べ ば thu và vị, may mắn là 6 và là món ăn ngon. あ あ, お trung cho những bất trung."ふ わ ぁ ぁ お. Để cho những bất trung với 1"...Tư わ ぼ nội thù rút lui và lá cây, từ khi nơi ở た nói に nay ngừng tay cho những bất thán. Ngày た bị rò rỉ."." ほ っ Brazil bị rơi vào tháng của bạn..."Tất cả để お dẫn".Ba người っ hóa tay má. お え nay 1 tháng.Trong tháng に và món ăn ngon, và sẽ nói trong ngày べ phu ăn cây, từ khi nơi ở な trung U な お. Tất cả con trai gửi giữ tháng. Trong ngày か một khẩu độ số 1 sẽ là bộ ba người け, may mắn là 6. わ Sudan, mùi. Tay vào nợ thời con gái của お tử chia け, số 1, な く báo thù, và ba người. Ngày 1 tháng 5 か Văn Thù お bướm り tay cho những bất tim và bị な phút."Văn Trung tâm của Sudan え ば thù.
đang được dịch, vui lòng đợi..
 
Các ngôn ngữ khác
Hỗ trợ công cụ dịch thuật: Albania, Amharic, Anh, Armenia, Azerbaijan, Ba Lan, Ba Tư, Bantu, Basque, Belarus, Bengal, Bosnia, Bulgaria, Bồ Đào Nha, Catalan, Cebuano, Chichewa, Corsi, Creole (Haiti), Croatia, Do Thái, Estonia, Filipino, Frisia, Gael Scotland, Galicia, George, Gujarat, Hausa, Hawaii, Hindi, Hmong, Hungary, Hy Lạp, Hà Lan, Hà Lan (Nam Phi), Hàn, Iceland, Igbo, Ireland, Java, Kannada, Kazakh, Khmer, Kinyarwanda, Klingon, Kurd, Kyrgyz, Latinh, Latvia, Litva, Luxembourg, Lào, Macedonia, Malagasy, Malayalam, Malta, Maori, Marathi, Myanmar, Mã Lai, Mông Cổ, Na Uy, Nepal, Nga, Nhật, Odia (Oriya), Pashto, Pháp, Phát hiện ngôn ngữ, Phần Lan, Punjab, Quốc tế ngữ, Rumani, Samoa, Serbia, Sesotho, Shona, Sindhi, Sinhala, Slovak, Slovenia, Somali, Sunda, Swahili, Séc, Tajik, Tamil, Tatar, Telugu, Thái, Thổ Nhĩ Kỳ, Thụy Điển, Tiếng Indonesia, Tiếng Ý, Trung, Trung (Phồn thể), Turkmen, Tây Ban Nha, Ukraina, Urdu, Uyghur, Uzbek, Việt, Xứ Wales, Yiddish, Yoruba, Zulu, Đan Mạch, Đức, Ả Rập, dịch ngôn ngữ.

Copyright ©2025 I Love Translation. All reserved.

E-mail: