見渡す限りの青。 空は地平の彼方まで晴れ渡り、太陽の光は燦々と降り注ぐ。しかし、決して暑すぎるということはなく、気候は穏やかで過ごしやすい。時折、優しく吹くそよ風は何とも心地いい。ただ、周囲をどれだけ見渡しても、何一つ "物" がないのは少々寂しいところだ。 もっとも、それも仕方のないことだろう。なにせ、ここは大海原のど真ん中なのだから。 そんな大海のド真ん中で、ぷかぷか、ゆらゆらと波間に漂うのは一隻の船だ。いや、それを船と表現していいものか。少なくとも、この世界の人には "船" だと認識は出来ないだろう。 なぜなら、それは黒く光沢のある流線形のボディをしており、通常の船のように外側に乗り込む場所がないからである。本来なら、更に、そのボディの左右に小さな翼のようなものがVの字型についており、後部はスクリューのようなものと尾に見せかけた舵がついているのだが...今は見るも無残な感じで残骸が引っかかっているだけだった。それさえきちんとついていれば、少し平べったいシャチに見えなくもない、そんな形だ。
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