< やまととみつきとナギ > ナギのカバンには 、 ここなのキーホルダーが付いている 。 これがあると、不思議と無限のパワーが沸いてくる気がするのだ。 だけど、そんなここなの魔法がきかない日だって、たまにある。<br><br>「どうしたんだよ。 うしろすがたがすっげーしょんぼりしてるぞ」 「なにかあったのか?」 教室のすみっこ、皆の輪には入らずキーホルダーを握りしめるナギの目には涙。 それにいち早く気付いた大和と三月が、ボール遊びを中断してそばへと駆け寄る。 「ワタシ、ここながすきです......」 「しってるよ。 きのうのおべんとうも、ここなのふりかけだったじゃん」 なあ、と大和に振れば、「なんでないてるのか、おれたちにおしえてくれよ」と一緒にしゃがんで覗き込む。 「......... ここなは、おんなのこがみるアニメだと」 それだけ言って、ぐすぐす鼻をすする様子に二人は分かった。 意地の悪い誰かに、ここなを馬鹿にされたんだろう。 「そんなこと、ナギがきにすることねーよ!おれだって、いおりとみるもん」 「きょうもここなごっこするんだろ?またあくのおやだまやってやるからさ。 はなみずふけって」 ポッケから取り出したハンカチで乱暴に涙を拭う。 ナギは知っている。 一織はあんまりここなに興味がないことを。 三月が見てるから一緒に見てるだけだ。 大和も、本当は一度くらい正義の味方役をしたい。 けれど、目つきが悪い自分はこっちの方が似合ってるからと自ら敵役ばかりやってくれることも。 ナギは知っている。 自分が悲しんでいたら、大好きな外遊びをやめてまで声をかけてくれる友人がいることを。 「...... ここなとおなじくらい、ヤマトとミツキのこと、だいすきです!」 「なんだよきゅうに」 「おれもだいすきだぞ!」 借りたハンカチで大袈裟に鼻をかみ、そのまま二人に抱きついた。 自分より大きい身体を受け止めてくれる両腕は、とてもあたたかい。
đang được dịch, vui lòng đợi..
